肝臓の痛みの原因は?
肝臓があるのは、腹部の右上部です。このあたりが痛い…となると、「まさか…肝臓病?」と疑うかもしれません。
でも、その「肝臓の痛み」の原因は違う所にあるかもしれません。よく言われるように肝臓は「沈黙の臓器」です。
ではなぜ沈黙なのか。「自覚症状がないから」と答える人が多いと思いますが、それはつまり「痛みを感じる神経がない」ということで、肝臓自体に「痛み」という感覚がないからなのです。
痛んでいるのは多くの場合、その肝臓周辺にある臓器なのです。例えば、胆のうや胃をいったところは隣接している臓器であり、肝臓が痛んでいると勘違いしやすいところでもあります。
もし、肝臓辺りが痛い場合は、そのほかの臓器に異常があるということも同時に疑いましょう。
肝機能悪化で他の臓器へダメージも…
例えば肝機能悪化によって腎臓障害が起こりやすくなります。また、肝硬変を起こすと胃潰瘍や胃炎、食道静脈瘤、十二指腸潰瘍などにかかりやすくなると言われています。
そのため、肝臓が悪くなったことによって胃の痛みを感じるようになることもあるわけです。つまり、胃が痛いという症状が現れている場合は純粋に胃炎だけを発症していることもありますが、肝臓が原因で胃炎を合併してしまっていることもあるということなのです。
痛みが体の右側に偏っているなら注意が必要…?
肝臓が存在している位置は上腹部の右側あたりです。そのため、肝臓が悪くなると決まって右側に痛みが出やすくなると言われています。
例えば肝臓が腫れていると腹部の右側や背中の右側に痛みを感じるようになります。また、右側だけ腰痛を感じたり右の肩が痛かったり…と、とにかく右側に痛みが集中してしまうことが多いようです。
しかし、このような痛みは単なる筋肉痛の可能性もあるので、右側に痛みが集中しているからといって焦ってはいけません。もし、体を動かすと痛みが走ったり、寝ている状態では痛みを感じないという場合はなれない運動をしたために起こる筋肉痛や姿勢が悪いことで起こる痛みの可能性が高いです。
反対に、特に動かなくても痛みがあったり、寝ている状態でも痛む場合は要注意。この場合は内臓などが痛みを発している可能性が高くなります。
肝がんになっている場合、表面のガンが破裂することで痛みを感じることも…
肝硬変や脂肪肝などを放置していることによって起こりやすくなる肝臓がん。肝臓がんになった場合、肝臓の表面にあったがん細胞が破裂したりしたときに痛みが走ることがあります。この場合、肝臓が痛いというよりも右の背中に痛みが走るという感覚に近いようです。
このような症状が出た場合には、肝臓がんの可能性も否めません。特にがんは転移する可能性もある恐ろしい病気です。早い段階で病院で検査を受けることをオススメします。
肝臓の痛みの原因はさまざまです。とにかく何かしらいつもとは違う「異常」を感じたら、早めに病院で検査を受けるのが得策。肝臓は「沈黙」です。悪くなってからでは遅いのですよ。